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年収の壁とは?

「年収の壁」とは、所得税や社会保険の負担が発生・増加する収入の境界を指します。この境界を超えることで手取り額が減少する可能性があり、就労調整を考える要因となっています。ここでは、税制と社会保険の両面から「年収の壁」を解説します。

第1章 税制における「年収の壁」


1-1 所得税の課税開始ライン(103万円の壁)

所得税は、給与所得控除や基礎控除を差し引いた課税所得に応じて発生します。

・基礎控除:48万円
・給与所得控除:年収に応じて設定(年収162.5万円以下は55万円)

例)年収103万円以下の場合:
給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円以下のため、所得税は発生しません。

1-2 配偶者控除と配偶者特別控除

配偶者の給与年収が一定額以下の場合、納税者は次の控除を受けられます。

・配偶者控除:配偶者の給与年収が103万円以下の場合に全額控除。
・配偶者特別控除:配偶者の給与年収が103万円超~201.6万円未満の場合、控除額が段階的に減少。

配偶者の収入が増えると控除額が減少し、世帯全体の所得税負担が増加する可能性があります。

1-3 扶養控除(配偶者以外の親族)

扶養控除は、納税者が控除対象扶養親族を養っている場合に適用される制度です。

扶養控除の金額
・16歳以上19歳未満:38万円
・19歳以上23歳未満(特定扶養親族):63万円
・23歳以上70歳未満:38万円
・70歳以上(老人扶養親族):48万円

扶養控除の条件
・扶養親族の年間合計所得が48万円以下(給与所得のみの場合は年収103万円以下)。
・扶養親族が納税者と生計を一にしていること。

第2章 社会保険における「年収の壁」


2-1 被保険者資格取得基準(4分の3基準)

短時間労働者でも、以下の条件を満たす場合は社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。

1. 1週間の所定労働時間が通常の従業員の4分の3以上
2. 1カ月の所定労働日数が通常の従業員の4分の3以上

2-2 特定適用事業所の基準(106万円の壁)

従業員数が51人以上の企業では、以下の条件を満たすと社会保険への加入義務が発生します。

・労働時間:1週間の所定労働時間が20時間以上
・月収:8.8万円以上(年収106万円以上)※残業代は含みません
・その他:学生ではない

短時間労働者がこれらの条件を満たした場合、保険料が発生しますが、老後の年金額が増加するというメリットもあります。

2-3 被扶養者資格喪失基準(130万円の壁)

被保険者に扶養される被扶養者の年収が130万円(60歳以上や障害者は180万円)以上になると、原則として被扶養者資格を喪失し、国民年金や国民健康保険の保険料の支払いが発生します。

2-4 社会保険の負担とメリット

負担
・社会保険料が毎月の給与から控除される。

メリット
・老後の年金受給額が増える。
・健康保険から傷病手当金や出産手当金が支給される。

第3章 年収の壁を超えるべきか?


3-1 短期的な手取り vs. 長期的なメリット

短期的な手取り額を重視する場合、年収の壁を意識して働き方を調整する方法があります。一方で、社会保険に加入することで長期的に得られる老後の年金や健康保険の給付を考慮することも重要です。。

3-2 収入とライフプランのバランス

「年収の壁」を単なる負担増と捉えるのではなく、以下の観点で総合的に判断しましょう。

・世帯全体の税負担や手取り額
・将来的な年金受給額
・家族全体のライフプラン